組手において、前に出ることは重要だ。初級者のうちに下がらないことを意識して試合を積み重ねていかなければ、余裕を持って下がれるようになれない。だから最初の段階としては、恐くても前に出て行くことを心がけるべきだと思う。
誰しも痛い思いをして強くなってきている。初級者のうちは先輩や年上を相手に戦わなければならない。しかし、いま大会で活躍している先輩たちも同じような経験を積んできた。悔しい思い、痛い思いをしてきたのだ。そういう経験をしないで強くはなれない。
昔、第1回全日本チャンピオンの山崎照朝先輩と組手をしたことがある。技はもちろんだが体がものすごく強く、とにかく「速い」「正確」で「痛い」という印象が強い。一方的に攻撃を浴びて、ひっくり返されるし、自分がどこを向いているのかさえわからないほどかわいがられた。組手を終え、先輩から「痛いと感じたときに強くなれる。だからお前は強くなれたんだ」と言われたことを憶えている。
ワールド空手より転載 |